建築屋の土地を見る視点
建築会社は、基本的に南向きの土地を、
それほど良いと思っていないのですが、
その理由は大きく分けると2つあります。
まず1つ目の理由が、防犯性とプライバシー性の確保がとっても難しいからです。
南につくった大きな窓からは、たくさんの光とともに、
道行く人たちの視線が入ってきてしまうからです。
また、窓を見ただけで部屋の配置が全て分かってしまい、
夜になると光が灯っているかどうかで、どこの部屋を使っているかまで、
道行く人たちから分かってしまいます。
そんなこんなで、丸見えを防ぐために
みんな問答無用でカーテンをするわけですが、
そうなれば光が家全体に届きにくくなってしまいます。
結果、部屋が薄暗くなり、朝からずっと照明を点灯したまま暮らすことになります。
そして同時にカーテンが開けられない窓は、
窓を開けることも出来ないので、風も常時取り込むことが出来ません。
さらに、家を明るくしたいと思う気持ちから、
保険的な意味も込めて南以外にも大きめの窓を
たくさんつくる方もいらっしゃいますが、
この窓も、結局周りから丸見えになるとしたら、
カーテンが必需品となるのでいい解決策だとは言えません。
それどころか窓を不用意に増やしてしまうと、
コストアップとともに、耐震性と断熱性が劣化してしまうので、
むしろやめたほうがいいと思います。
窓が増えれば、掃除場所も増え、戸締りの心配も増えることになります。
そんなわけで建築会社は、南向きの土地を前向きにオススメしないというわけです。
✔予算と期間の問題
2つ目の理由が、土地の値段が一番割高だからです。
皆さん日当たりがいい土地を狙ってしまいますよね?
つまり、需要が供給より高いからです。
ゆえ、土地の価格交渉をする余地もありません。
定価どころかもっとお金を出してでも、
その土地を買いたいと思っている人が、たくさんいるわけです。
結果、土地に予算を使い過ぎてしまい、
家づくりの予算を大きく圧迫してしまうのですが、
それだけにとどまらず、南向きの土地は建築代と外構代も高くつきやすいので、
さらに大幅に予算オーバーしやすくなります。
建築代に関しては、カーテンやシャッターといった、
オプション部材に余分にお金がかかり、
外構代に関しては、防犯性とプライバシー性を高めるための、
目隠しや植栽や塀に、多額のお金がかかってしまうからです。
また、需要が高いということは、
すぐ売れてしまうということでもあるので、
土地を即決しないといけません。
となると、その土地には、本当に自分が望む家が建つかどうかを、
検証出来ないまま土地の契約をしないといけなくなります。
かつ、早く不動産屋さんに土地代の支払いをしないといけないので、
必然的に家の打ち合わせ期間もタイトになってしまい、
自分が建てる家に後悔しやすくなります。
そんなわけで、南向きの土地を前向きにオススメはしないというわけです。
前回もお伝えしましたが、土地の日当たりの良し悪しと、
家の明るさや快適性との相関関係は、実はそう高いわけではありません。
なので、これから土地探しをする方は、
土地の日当たりにこだわることなく、建築屋さんに土地を見てもらいながら、
土地選びをしてもらえたらと思います。