家づくりの現実と打ち手
昨今、住宅の価格は、原材料費の上昇と税負担の上昇、
そして基本スペックの上昇によって、上昇の一途を辿っています。
また、それに加えて、インターネットやSNSの普及に伴い、
追加オプションがどんどん加わり、
より家の価格が押し上げられていっているのが現状です。
結果、3年前と比べると、ざっと400万円〜500万円ぐらい、
価格差があると感じているのですが、
これを踏まえた上で、私たちが考えなければいけないのが、
今後はどのような家づくりを提案すべきかということです。
これまで通りの家づくりをしていたら、
明らかに家を建てる人が背負う負担が大き過ぎ、
これから迎える人生100年時代を、
豊かに生きていくことが出来なくなってしまうからです。
ということで今回は、家づくりの負担を下げる打ち手を、
一緒に考えていきたいと思います。
家づくりは大きく分類すると、
「土地」「家」「庭」の3つがあるのですが、
まずは、負担減の最大の鍵を握る「土地」からいきたいと思います。
✔毎月の返済額の基準
このブログでもお伝えしてきましたが、個人的には、毎月のローン返済額は、
ご主人の手取り金額の30%以内に抑えるべきだと思っています。
家以外にも、お子様の将来や、自分たちの老後のための、
積み立てをしていかないといけないですし、
家を持ったらそれで終わりではなく、家を維持していくためにも、
それなりの費用が掛かり続けるからです。
そして、それらの費用に奥さんの給料は全額飛んでいく・・・
と言っても過言ではありません。
仮に、ご主人の毎月の手取りが25万円だとした場合、
返済額の上限は75,000円ということになるのですが、
この場合、35年ローンで逆算した借入額はざっと2650万円となります。
なので、このローン額に自己資金を合わせた額が、
あなたが家づくりに掛けられる、上限だということですね。
では、350万円自己資金があり、建てる家に2200万円かかるとしたら、
あなたはどのように、家づくりをすべきなのでしょうか?
外構工事(庭)に100万円、地盤改良工事に100万円、
諸経費に150万円かかるとして考えてみてください。
この場合、土地に掛けられる費用は、土地にかかる別途経費も含めて、
450万円ということになります。
なので、土地から買わなければいけない場合、
土地そのものに掛けられる予算は、350万円〜400万円ということですね。
「え?話にならないっ!」・・・そう思われたかもしれませんが、
実は、これが家を建てるほとんどの人たちが、目を向けなければいけない現実です。
経済的な面を重視してみたら、とてもじゃないけど、
土地に1000万円も、予算を掛けている場合じゃないんです・・・
全額、ご両親からの援助でもない限りは。
1000万円の土地を買った場合、100万円ほど別途経費が掛かると考えると、
ざっと650万円予算が押し上がり、
毎月の返済負担が20,000円ぐらい、上がってしまうわけですからね。
かつ、それは35年もの長い間、固定されてしまいますからね。
負担が増えた分、貯金の原資も減るため、繰上げ返済のために貯金をするにしても、
思っている以上にお金も貯まらないですよね。
それに加えて、今後はますます社会保障費や税負担が上がり、
20,000円手取りを増やそうと思うと、
40,000円近く給料が上がらなければいけないようになると思うので、
その点から見ても、住居費の割合を抑えることは大事なことです。
✔土地を買わないという選択肢
そこで、オススメなのが、土地を買わないという選択肢です。
つまり、実家に土地が余っているなら、そこに建てるということですね。
もちろん、実家に土地が余ってない人は、土地を買わざるを得ないし、
「親の近くで暮らすのもなぁ…」と思っている人もあると思うので、
絶対にそうした方がいいというわけでもないんですけどね。
でも「それもアリかも?」と思える余地があるのなら、
もう少し具体的に検討してみてもいいんじゃないかなと思います。
仮に、実家に土地があり、土地に掛かる負担を全額、ご両親が負担してくれたとしたら、
あなたは丸ごと、土地に掛かる費用を削り落とすことが出来ます。
先程の場合であれば、2550万円で家づくりをすることが出来るということですね。
また、ご両親の年齢や仕事の状況にもよりますが、
実家の近くに住めば、お子さんを見てもらいやすくなります。
結果、ご夫婦そろって、ガッツリ働き続けることが出来るし、
お子さんが休んだり早退するような時も、
仕事を休む必要もなくなるでしょうから、仕事の選択もしやすくなります。
この他、時々ご飯を一緒に食べれば、食費も浮いたり、
家事の負担も少し減るかもしれません。
とまあ、実家に住んだ場合の、メリットばかりを挙げてみたんですが、
メリットだけではない部分もあると思うので、
その点もご夫婦でじっくり話合った上で、
最良な家づくりの選択を行ってください。
とにかく、土地は家づくりの予算を最も左右する材料なので、
ここを一番よく考えてから家づくりを始めていただけたらと思います。